「な、伝わる?」
触れた部分からドクン…ドクン…と早く脈打つ鼓動が伝わる。
一瞬全ての物音が消え去り、互いの鼓動がシンクロした。
今、確かに繋がっているのに何だか苦しくて切なくなる。
「好きや、景吾」
神聖な儀式を行う誓いのように長い指を絡めとりキスをする。
「もっと…、呼べよ…」
もっと、もっと、もっと…。
「…っ、景 吾」
オレの言葉が忍足を煽り、身体の中を支配する硬度が増す。
「景吾…オレの、名前も呼んで?」
「は、あぁ…っ、侑…士っ…侑士…」
次第に早くなるリズムに今度はオレが煽られる。
擦れ合う皮膚の濡れた音が部屋に響き、互いの限界を知らせていた。
痛みと快楽が入り混じって、いつも訳が分らなくなる。
昇りつめる刹那。
オレを離すな、
言葉になったかは分らないけど。
「…っ、あ…、あっ、あ…───」
「…うん」
短く返事が聞こえた気がした。
手放した意識の中、夢を見た。
眠るオレにアイツの手がくしゃりと髪に触れ、こう言った。
「ただいま」
そして額に優しいキスをした。
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