雨音がきこえる #4


この気持ちは何だ…。

言いようのない感情が胸を巣喰う。

「岳…」

口を開きかけた時、外が騒がしくなった。

勢いよくドアが開けられる。

「鍵!向日先輩が持ってたんですね。ホントはオレが開けなきゃいけないのに、すみません!
あ!違いますよっ宍戸さんっ。別に宍戸さんを迎えに行ったせいだなんていってませんよ!」

そう言うと、大きな体を宍戸へと向けた。

「もー。うっせぇよ長太郎!」

大型犬をなだめるように宍戸が背中を叩いた。

鳳の勢いに言いかけたオレの言葉は岳人まで届かなかっただろう。

それで良かったのかもしれない。

・・・オレは何を聞くつもりだったんだ・・・

「今日は思いっきり練習しましょうね!宍戸さん」

「おう。んじゃ早く着替えて行くぜ」

「そういえば…」

シャツを脱ぎながら誰に聞くともなしに鳳が言った。

「忍足先輩がいないとなんか寂しいですよねー。いつ帰ってくるんですか?」

このバカ、と言わんばかりに宍戸が鳳の腰に膝蹴りを入れた。

「ったぁ…」

小さな声でその相手に抗議するも、すぐ上目遣いで スミマセン と謝った。

ホント犬みてぇだな。

宍戸はオレへの配慮のつもりなんだろう。

…余計な気なんか遣うんじゃねぇよ。

「侑士なら1ヵ月位で帰って来るってさ。な、跡部」

敢えて返事はしなかった。

オレが知っているのはここまでだ。

岳人は話を続けた。

「侑士の話だと…。母方のばぁちゃんがさー、京都で茶道のナントカ流って流派の家元やってんじゃん?
そっちのゴタゴタがあって帰ってんだよな?」

確認するようにオレを見る。

「なんかパーティーみたいなのにも出席するとか言っててさぁ。って、侑士タキシードみたいなの着んのかなぁ!」

「うわぁ、ある意味めちゃ似合いそうっスね!!」

「ホストっ!」

鳳と岳人は2人で顔を見合わせて大笑いし、盛り上がっていた。

「…と、言う理由らしいぜ?」

宍戸がちらっとこっちを見た。

「カンケーねぇよ」

目を合わさず吐き捨てた。

理由なんて、どうでもいい。

今 オレが知りたいのは・・・


どうしてる?

そんな女々しい感情。

ほんの数日なのに。

なんてザマだ・・・

当たり前のように、傍らにいた存在。

それもまだ1年程なのに。

オレを捕らえて離さない。

人の都合なんて関係なく、自らの欲求で散々抱いてオマエで埋め尽くしておいて…。

『…景ちゃんめちゃ可愛エエわ。アカン、完全にハマってもうたかも』

そうアイツは言っていた。

でも。

きっと。

それはオレの方で。

・・・こんなオレは知らない。

                           続く

☆なんだか跡部が病んできてしまった…。
 お好きでない方はごめんなさいです。
 もうちょっと続きます…。
 ホント、誰か目を通して下さってる??