雨音がきこえる #2
結局理由も聞かないままだった。
あれから数日が過ぎていた。
雨はまだ降り続いたままだ。
ピンク色だった紫陽花がもう紫に変わっていた。
「……とべ…」
「跡部っ」
「──え?」
すぐ横で宍戸が怒った顔で立っていた。
「そんな大きな声出すんじゃねぇよ。聞こえてんだよ」
「聞こえてないからおっきな声だしてんだ!!」
「…宍戸ぉ、うるさーい…」
すぐ後ろの席でジローが目を覚ました。
「そこで!2人が!ぼーっとしてやがると目立つんだよ!」
随分機嫌が悪いようだ。
「宍戸、てめぇがキレてる理由がわかんねぇ」
またオレは視線を窓へと向けた。
頭を掻きながら、宍戸はバツが悪そうに言った。
聞くと、今さっきの授業中に先生がオレを指そうとしたが呼んでも応えずで
(指された覚えがないんだが…)、後ろの席のジローは寝てるし、
テニス繋がりで宍戸が指名されて答えられなかったらしい。
・・・オレのせいじゃねぇっつーの。
「アトベー、確かにぼんやりしてるよね」
ジローがまだ眠たそうにオレの肩ごしから声を投げかける。
「ほんっと、さっきの授業に限らずオマエ外ばっか見てんぞ」
「窓際の席なんだから仕方ねぇだろ?オレ様はてめぇと違ってちゃんと授業解ってんだよ」
「あーっもう!!」
頭をくしゃくしゃっとさせて、宍戸はさらに大きな声を出した。
「ムカツクなぁっ。オマエはぼーっとしてんだよ!どう見てもっ!…忍足が休んでからっ」
「忍足は〜、なんで休学なの?」
不思議そうに、独特な話し方で言う。
「…知らねぇ」
オレが話し終わるか終わらないかのタイミングで。
横から、後ろからと2人に詰め寄られた。
「なんで知らないの!?」
「なんで知らねぇんだ!!」
「…っ。なんだよ、てめぇらは…」
「おまっ、オマエって…バカだろ?」
「バカにバカ呼ばわりされたくねぇな」
そこへ癒しの声が入る。
「ねぇ、なんで理由聞かなかったの〜」
なんで、と頭を掠めたのは事実。
そして、敢えて聞こうとしなかったのも事実。
「そのうち帰ってくるだろ」
誰にも明かさないオレの強がり。
気づかれてなるものか。
アイツにも、だ。
「バッ…カ!ちゃんと聞いとけよ!…ダセェな」
「バカバカうるせぇんだよ!…っばか!」
ため息を深く吐いて言いやがった。宍戸のくせに。
聞いて何かが変わるのか。
アイツは1ヵ月だと言っていた。
そうしたら…帰ってくる。
だから、何も聞かない。
続く
☆宣言通り続いてしまってます(苦笑)
ちょっと強がりな一面の景ちゃん。
甘え下手が好きなんです〜。私が。